第28回、京都編です。今回は写真が少ないことをあらかじめお伝えしています。たくさん撮っているはずなのに・・・。わずかに見つかったものは 10 年以上前の、中途半端に古いものばかり。内容を詳しくお知りになりたい場合はネットで検索していただき、それでも見つからなかった場合は拙文から想像していただければと思います。
こちらへの初訪問も前回と同じ時、奈良旅行の時でした。あくまでも奈良のついでに寄っただけです。普通ならこちらがメインになるはずなのですが、やはりワタシの親、主流を外すことに躊躇がありません。当然寺社を中心に回ったのですが、それらはもう奈良でお腹いっぱいでしたので市内観光の記憶はあまりなく、覚えているのは京都タワーに行ったことぐらいかな。子供ながらに「この外観は京都のイメージにはそぐわないなあ」と思ったものです。それでも中に入ると観光地らしいお土産の数々があり、当時の定番であるペナントとキーホルダを買いました。そんなもの、どこでも買えるのにねぇ。
それからしばらくご無沙汰だったのですが、バイクに乗るようになってからはちょくちょく訪れるようになりました。初めて市街地を走った時の恐ろしさといったら・・・。タクシーは複数車線を一気に変更したり乗降客のために急停車したりで機動力高すぎだし、バスはバスで細い道でもガンガン飛ばす、乗用車はその多くは観光客ドライバーなので御意見無用のやりたい放題という始末。まるでアステロイドベルトの中を高速で突っ切る宇宙船を操縦しているような気分でした。当時(30 年以上前)の京都路上はカオスだったと思います。
それに慣れると訪れる頻度も増え、京都在住経験のある友人としば漬けを買いにニシダやへ行ったり、ツーリングで延暦寺や三千院などにも行きました。その中でも特に印象に残っている所を 5 つ挙げてみます。
ひとつ目は泉涌寺です。観光客は近くの東福寺に行くようで、こちらに来る観光客はそれほど多くはなく、大通りから入ったところという立地もあってひっそりとした佇まいです。なのでゆっくり見て散策するにはもってこいの場所です。でもこの寺の特色はそういうことではありません。ここは天皇家の菩提寺で、江戸時代までの天皇の墓があるのです。なので寺の御紋は花びらが 16 枚ある正式なもの。寺に菊の御紋という不思議な組み合わせを見たいがためだけに行ったのですが、たまたまその時には境内に誰もおらず、静謐な空気が満ちている中、それに浸るように歩きまわりました。そのまますっと帰るには惜しいと感じさせる「何か」がワタシを引き止めているような不思議な感覚でした。それを堪能したあとは、ニシダやに寄って、しば漬けと奈良漬を買って帰りました。
ふたつ目は勧修寺。ここには桜を見に行きました。今でこそインターネットからの情報で「桜の名所」という位置付けになっていますが、当時はそこまでメジャーではなく、花見客は近くの醍醐寺に行っていたのでここは穴場だったのです。ワタシはバイク雑誌で知ったのですが、当時は特に看板もなく、たどり着くのに苦労しました。で、行ってみると、参道ですでにテンションは MAX に。あまりにも見事な情景のため桜の下にバイクをおいてしばらくうっとり。満開を少し過ぎたあたりだったので、風が吹くたびに巻き起こる桜吹雪がそれに追い打ちをかけます。まるで白昼夢のような、あまりにも幻想的すぎる光景でした。その後で見た境内の枝垂れ桜も立派だったのですが、この参道ショックが強すぎて強い感動が感じられなかったのは残念です。ここからの帰りにもニシダやに寄りましたねえ。やはりここのしば漬け、絶品です。
3つめは将軍塚。友人と二人で夜景を見に行ったのですが、周囲はカップルばかり。艶っぽいイイ雰囲気を醸し出し、「あれがボク達が通ってきた五条通」とかなんとかヌカしながら肩を抱き寄せる恋人クラスターの中、「おお、けっこいのお!(訳:ああ、きれいだなあ!)」と讃岐弁丸出しで騒ぐ野郎二人。すみませんねえ、気が利かなくて(訳:爆発しろ!)。そうそう、この時もニシ・・・(以下略)。
4つめは龍安寺です。歴史の教科書でおなじみの石庭で有名なお寺ですな。一時期、学校で習った場所をリアル訪問することがマイブ-ムになっていた時があり、その時に最初に行った所です。静かな場所で心を無にして瞑想にふける・・・予定だったのですが、京都の観光地でそんなことができるはずがありません。見物客は写真を撮るためにウロウロして落ち着くことはムリだし、ワタシはワタシで「庭が宇宙を表している」なーんて聞いても、「ふ-ん・・・?」となるばかり。たまたま横にちょこんと座った外国人のお子様も同じご様子。で、ちょっと話しているとその子の両親もやってきて、話しているうちに盛り上がり「湯豆腐を食べに行こう!」ということになりました。境内にあるお店に行って食べたのですが、彼らから
「なぜ湯豆腐が有名なのか?」「どこの寺でも湯豆腐を食べるのか?」「日本人は湯豆腐が好きなのか?」「夏は湯豆腐を冷やすのか?」
などなどの質問が次々に飛んでくる始末。ご両親はワタシの拙い説明を聞きながら一つ一つ丁寧に食べていましたが、お子様は明らかにご不満のご様子。まあ小さい子供が食べて喜ぶものではないですね。「Oh, yeah, Tofu! I love it ! 」なんて言おうものならこちらがビックリしますわ。こんな状況で食事をしたのはなかなか面白い経験でした。味ですか? ん-、普通。
最後は、やはりここは外せないでしょう。舞鶴です。
これ
を外してでも舞鶴を持ってくるとは、さすがワタシ。呉・佐世保・横須賀へはちょくちょく行っていましたが、舞鶴はあまり・・・(大湊は全然・・・)。 というのも、そちら方面に行く機会が少なかったのでついでに寄るということもできず、初めて行った時は三方五湖へ行った帰りでした。前を通りがかるとたまたま見学日だったので、これ幸いと寄ってみたのですが、岸壁まで行けて見物客も多くないのでかぶりつきでじっくり見ることができました。いやあ、フネってでかいですねえ。それに美しい! 無駄のない機能美の極致といったところですか。でもどちらかというと旧世代のフネのほうがゴテゴテトゲトゲがむき出しで飛び出しているので、迫力があって好きです。今のは「つるっ」としすぎ。まあ戦闘機ほどではないですが。
現在は「艦これ」人気もあって観光客も増え、この近辺はイイ感じに賑わっています。
ここはミリタリー好きの聖地であるだけでなく、北海道への入り口でもあります。それで何度かお世話になった地でもあるわけなので、京都と聞くと、古都ではなく舞鶴のイメージが先に来ます。
食に関しては、京都ではあまり「コレ!」という店には出会えませんでした。「高い・少ない」というのがこの街のデフォなんでしょうか?学生の街でもあるので「安い・多い」店はあるはずですが、残念ながら出会えていません。なのでワタシにとっては、餃子の王将と天下一品が京都の食の双璧です。いいんです、舌とお財布に優しいんだから。
京都は、以前ほどではないにしろ日本を代表する観光地ですので、3日くらいかけてじっくり市街を歩いてみたいです。クルマやバイクでは駐車場や交通渋滞でえらい目に合うので、高速バスで行くのがいいかな。
と想像の翼は広がるのですが、その時にはいつも心の声が。
「お前、3 日あったら東京かツーリングに行っちゃうんだろ?」
・・・京都を満喫するのはまだまだ先のことかな。
ではまた。
次回のアップは一回お休みして 2/15 になる予定です。