急に暑くなってきました。週末はバイク日和です。タイヤの皮むきをしに走りに行こうかなぁ。あ、でも県内ですよ。もう少しの我慢我慢。
前回の続きです。
買っちまった・・・。まだ学生の身分でありながら当時希少だった Ninja 900 。頭の中には
「分不相応」「贅沢」「身の程知らず」「汝自身を知れ」「○○に小判」「○○に真珠」 エトセトラエトセトラ
という言葉が渦巻いています。何とか不安をまぎらわそうと、サ-クルメンバ-に「いや-、 Ninja 買っちゃったんですよね-、はははh」と暴露していじってもらおうとしたのですが、みんな
「え”っ・・・」
と言って絶句するばかり。NS400R にビビった私が、まさかそんなス-パ-モンスタ-(当時)を買うとは思ってもみなかったようで・・・。
正気に戻った皆さんから出た言葉は、
「分不相応」「贅沢」「身の程知らず」「汝自身を知れ」「○○に小判」「○○に真珠」「借金大魔王」 エトセトラエトセトラ
あ、増えた・・・。
そうはいっても、このチャンスを逃すともう一生こんなバイクは買えないと思い、腹をくくりました。
待つこと1週間余り、ブツがやってきました。
言われていた通り、傷なし・汚れなし・サビなしの新車同然でした。
自分のバイクでありながら遠巻きに見ていましたが、「乗ってきてみ?」という店主の言葉に正気を取り戻し、
「はひ、でわ行ってきまふ・・・」
とメンバ-が見守る中、恐る恐る学内ループ道路にコ-スイン。
この道は直線、高速・中速コーナ-、ヘアピンと、バラエティに富んだ道なので、試し乗りにはもってこいなのです。
走り始めた第一印象は
「乗りやすい!💛」
でした。低速トルクが強くないのでぎくしゃくせず、フロント 16 インチの癖は多少あるものの後輪主体で走ると素直に曲がります。車体の重さも気にならず、とても素直な優等生という感じでした。ブレ-キはカワサキ特有の初期制動が強いタイプでしたが、そこはレバ-への入力次第でコントロ-ラブルに扱えます。
「いい買い物したなぁ」
という満足感にひたっていました。ループ道路を何周か走っていくうちに慣れてきて、
「どれ、フル加速はどんなもんかいな」と思い、アクセルをカパッと開けた瞬間、
「ひえぇぇっ、ごめんなさいぃぃぃっ!」
という鬼加速を体験してしまいました。
それまでの 400 cc のフル加速では、ケツを蹴っ飛ばされるような加速感を味わってきましたが、Ninja では急に質量感が消失して前方に吸い込まれていくような感覚だったのです。ちょうど宇宙船がワープする時に周りの星が一斉に後ろに流れていくような・・・。自分の意識が身体一つ分後ろに取り残されているような、奇妙な感じでした。こんな衝撃的な体験をしたのは、後にも先にもこの時だけです。
これはヤヴァいと思い、その日から授業に出席する時間を惜しんで、寝る時間は惜しまずにライディングの感触を体に叩き込み、無事8月に北海道ツ-リングを楽しむことができました。
長所
・超目立つ。当時、逆輸入車はほとんど見かけなかったので。
・燃費がいい。どんな走り方をしても 18km/L を切ることはなかった。
・低重心のため、安定感抜群。押し歩きも楽。押しがけも容易。
・買い物から長距離ツ-リングまで、何にでも使える究極のオ-ルラウンダ-。
短所
・F ホイ-ルが異様に重い。16 inch の不安定さを重量によるジャイロ効果で補おうとしたのだが、減速時のリ-ンでフロントに荷重がかかったままだと超切れ込むナーバスさがある。
・熱に弱い。真夏の市街地ではよく冷却水を噴いて粗相をしていた。
・当時はパーツ供給に問題があり、消耗品の入手に困った。でも、オイルフィルタ-は CBX400F のがそのまま使えたので助かった。
でも何のかんの言いながら、大排気量の楽しさと怖さを教えてくれた、さすが名車と言われるだけの素晴らしいバイクでした。結局4年間6万キロ乗り、次にバトンを渡してくれました。
8台目は次の機会に。
では。