バイクで走るには最高の気候になってきました。 やや気温は高めですが、「ちょっと暑い」「ちょっと涼しい」くらいが季節を感じられるので、ついつい走りたくなってしまいます。
あと1ヶ月たつと「かなり暑い」季節になります。寒いのはなんとかできますが、暑いのはその対処に限界があるのでバイクに乗るのが億劫になります。
学生時代、バイク屋のご主人が「夏はバイクに乗る気がしない」と言っていたのを聞いて軟弱だなあと思っていたのですが、今ではその気持ちがわかります。この歳になると「暑くて嫌だ」というレベルの問題ではなく、「危険」なのです。
ですから 8 月の北海道ツーリングのための名古屋のフェリーターミナルまでの往復は、ワタシにとっては冒険なのです。ああ、名古屋までのツーリングが怖い怖い(「まんじゅうこわい」より)。
前回の続きです。
5/6
5:30 起床。昨日はあまり走っていなかったのと、少し早めに寝たので、難なく起きられた。ここで調子こいて急いで準備すると、いろいろやらかしてしまうので、あえてゆるゆる動く。それでも準備中にツーリングマップルが足の上に落下! ちょうど角から落ちるという念の入りよう。出血し、絆創膏の出番となったが、気を引き締めるいい薬になった。
6:30 出発。
今日も移動距離は少ないのでこんなに早く出る必要はないのだが、GWの谷間の平日、ましてや金曜日なので、朝の渋滞の可能性を考慮してのこと。おかげでスムーズに市街地を走れた。
K17 を南下し、R4 に入り、R118 にスイッチする。
この道の田舎具合がたまらない。急かされるわけでもなく、つまらないわけでもない。走りながら癒やされていくような、不思議な道。天気もいいし気温も快適。バイク乗りにとっては最高のシチュエーションだ。
須賀川を越えて山に入る。ここを走っていると、柏の葉っぱや畳、何かの花、オイルなどのいろんな匂いがした。それが農地から来るのか店から来るのか出所はわからないが、コーナーを抜けるたびにバリエーションに富んだ香りがするのだ。幹線道路なのでペースは遅いがその分香りを楽しめる。前回来た時は車だったので気づかなかった。嗅覚でも道を楽しめるというのはバイクの特権だろう。それにしても不思議な道だった。
この道は市街地をかすめるように作られている。バイパスというほどのものではないが、市街地を通る狭い道はそのままにして、新たにルートを通したのだろう。なので、市街地の方に入って行く道、つまり旧道があればそちらの方を選んで走った。
この選択は正解だった。ゴミを出す老人やスクールバスを待つ親子、家の前でタバコを吸っている人など、そこには平日早朝の生活感が溢れている。そんな光景を見ると、ここでは自分はヨソ者であり、日常の空気の中で非日常を味わっているのだと実感できた。
景勝地や観光地を訪れなくても、こういう「普通」の風景を見ただけで「遠くへ来たなあ」ということを意識できる、そんなことを感じることができるのも旅の醍醐味だ。
このようなことを続けて R118 を南下するつもりだったが、R349 という道もあることを発見。この道は走ったことがない。どうせなら初モノに挑戦することにした。
R118 には 「袋叩き」 「袋田の滝」 という観光の目玉があるが、R349 には何もない。なので快走に次ぐ快走。「あらら」と思う間に水戸が近づいてきた。
当初は「ひたち海浜公園」に行ってネモフィラを見るつもりだったが、「こんな時間に行くのは大混雑に突撃するようなもの。今回はパスして来年の課題にしよう」と諦めるのに時間がかかってしまい、そのまま水戸市内の渋滞に突撃してしまった。
相変わらず水戸市内は走りにくい。渋滞中というのもあるが、学生時代からここを走るのは苦手だった。信号の数や配置場所が移動のスムーズさを妨げているような気がして、イラッとさせられることが多いのだ。
一般的には、渋滞を作らないようにするためにできるだけ車両が動きやすくなるような信号機の設置や点灯のタイミングを設定している。ところが水戸では「まず停まれ。話はそこからだ」と言わんばかりに車の流れを止めようとしているように思えてならない。おかげで TIGER のファンはずっと回りっぱなしだった。
ネモフィラ鑑賞を諦めたため、時間が浮いた。そういえば近くにお宝ショップがあったはず。
「いやー、困るなー。イイのがあったらどーしよー。水戸だからガルパングッズはたくさんあるだろーなー。小さいものだけ買っとこーかなー。」
杞憂だった。見事にボウズ。かすりもしなかった。ガッカリだ。
もっとがんばって、水戸!
気を取り直して R6 を南下する。 途中の「珍来 小美玉店」で早い昼食。
GW中はセットものはないとのこと。なら単品か。麺類の種類が多くて迷うが、腹も減ってるしちょっと変わったものにしようと思い、「スタミナラーメン大+餃子」にした。その注文時にワタシのゴーストが何かをささやいたのだが。
「おまたせしましたぁ、スタミナラーメンの大ですぅ」
うわあぉ、コイツだったぁー!
そう、東海PAで食べたアレ。 汗と鼻水を大量に分泌させたアレ。 味、量共に「スタミナ」の名に恥じないアレ。 アレが再びワタシの前に。
ヤバい、今回はさすがに食べきれないかもしれない。
「お待たせしましたぁ、餃子ですぅ。」
しまった、援軍がいたんだったっ!
でも、もたもたしてると麺がふやけてますます不利になる。食うか。
食べた。
ひたすら食べた。
心を無にして食べた。
額から流れる汗をふいては食べた。
鼻をかんでは食べた。
餃子も食べた。
頭の中では中島みゆきの「世情」が流れていた。
なんとか食べ切りスープを飲み干したら、ロッキーの音楽に変わった。
「エイドリアーン!!」と叫びたくなった。
放心状態で店を出て、うっぷうっぷ言いながら次の目的地、「茨城空港」へ向かう。
ファントムがお色直しをしたのでそれを見るため。地元企業が無償で行ったらしい。
「色褪せたファントムの勇姿を取り戻すため、男たちは立ち上がった」
(Project X 風にどうぞ)
以前見た時は塗装がくすんでいたが、現在はこの姿。やっぱりファントムはイケメンだなぁ。
空港内をひと回りしてから、
退出。
昨年来た時は休館で見られなかった。駐車場で TIGER 好きの 物好き 好人物としばらく話した後、いざ入館。 と、その前に隣接する陸自の敷地内にある「雄翔館」を見学。
予科練出身者達の最期についての記録に胸が痛む。
そして記念館に入館。
予科練生の生活などの資料展示を見た。
屈託のない笑顔や家族に宛てた手紙を見ると、彼らも普通の若者だったことがわかる。それでも高い競争率を乗り越えて入隊できたことは優秀さの証であり、その上で厳しい訓練を重ねたことで、「精鋭」と呼ばれるまでになったのだろう。
しかし、優秀であるが故に精鋭となり、精鋭であるが故に亡くなった方も多い。優秀な人材の損失というのが戦争の一番のマイナス面だと思う。
戦争についての資料館にいくつか行ったが、こちらに伝わってくることは資料館によって異なる。ここでは
「予科練にはこんな若者がいて、こんなことを考えていた。 こんな生活をしていた。 そして兵士として育ち最期を迎えていった。 選ばれた若者たちが命のやりとりの方法を学んでいた場所、そんな予科練が確かにここにあったのだ。」
という、若者たちの未来が奪われた残念さを含みつつ淡々と大戦の振り返りをしているように思えた。
美談や悲惨さから少し距離をおいて、当時の様子を客観的に伝えることを主旨としているように見えた。 ここはかなり成熟した資料館だと思う。
満足して宿に向かう。今日の泊地は「セントラルホテル」。 場所がなかなかわからなかったが、なんとか到着できた。コンビニも近く、立地はいい。
部屋は、何というか、「昭和のビジネスホテル」かな。ベッド、ユニットバス、トイレ、エアコンと、設備に不足はない。無料の駐車場まである。
が、ウォシュレットが無いとか、バスが小さい、駐車場が未舗装など、全体的にコンセプトが古いのだ。つくば万博の時にできたものかな?
それでも清掃は行き届いており、フロントのおばちゃんは気さく。不満要素は無い。「そういえば学生時代、こんな感じのビジネスホテル、ツーリングでよく使ったなぁ」と思わせてくれるホテルだった。
ただ一つ、昭和のホテルでも無かったことが。
一泊 ¥2850 (フェア中)!!! 素晴らしい!!!
本日の走行距離: 231.3km
続く。