年始から入院していた兄が、ようやく快方に向かいました。エコノミ-症候群による発作のため、一時は心肺停止状態になったのですが、あと10日余りで退院できる見込みだそうです。
意識を回復した記念に撮った写真を奥さんが送ってくれたのですが、そこにはうつろな目をしてピ-スサインをする兄の姿が・・・。
こどもか!
足が着くのに気をよくした私は、言われた通りクラッチレバ-を握り、大きく息を吸ってセルモ-タ-を回しま・・・
っとその前にチョ-ク引かなきゃ・・・・
あれ?チョ-クレバ-はいずこ???
ワタシ:「あの、、、チョ-クレバ-はどこです?」
店 員:「(化石を見る目で)燃料噴射なのでチョ-クレバ-はありません(半笑)」
ずっとバイクはキャブ車ばかりだったので、チョ-クなしでエンジンがかかるなんて驚きでした。チョ-クの加減次第でエンジンがかかるかどうかが決まるのを経験した世代にとっては、そんなことを気にせずスイッチポンでエンジンをかけられるなんて夢のよう。まるで車みたい! 未来ずら~!(by花丸ちゃん)
ということを今の若いモンに言っても意味が分からないでしょうなぁ・・・
気を取り直して、スタ-タボタンを ON ! ちょっとカンに障る金属音のような音を立ててセルが回り、エンジンに火が入ります。
エンジン音は並列エンジンらしい腹に響く音ですが、国産エンジンのような収束した重低音というほどではありません。一応音にまとまりはあるけれど、ところどころ違う音が混じっています。こんな感じの音、どっかで聞いたことあるな-と思っていたら、GPz900R のエンジン音とイメ-ジがかぶっていることに気づきました。
昔の TRIDENT900 の血統がまだつながっているのでしょうか? あれも3発だったし。
(このバイクのエンジンはカワサキからの技術協力があったと言われています)
この音を聞いて、シュンシュン回るエンジンではないなと思いました。
さあ、それではいよいよ路上に出ます。ギアをロ-に入れるとショックはやや大きめ。「気をつけて~」という店員の声に見送られておっかなびっくりのスタ-トです。
ライド・バイ・ワイヤ-は未知の世界でしたが全く問題ナシ! むしろスロットルコントロ-ルは極めてスム-ズ。これは ZZR 1100 とよく似ていて、低速域でも微妙な加減速が可能です。世界初の導入とのことですが、よくここまで味付け出来たなあと感心しました。
この日は乗って帰るだけと思っていましたが、ガソリンも満タンなことだし(私的バイク遍歴 11.13/11 参照)ちょっと走ってみよう! あまりこのバイクのインプレッション情報がないので、自分で体験するのが一番です。
幹線道路
とにかく「走りやすい!」の一言に尽きます。先行車との車間距離調整や追い越しをするときになんのストレスも感じません。それほど右手のスロットルの動きとパワ-の出方の関係が自然なのです。出すぎず遅れずで見事な調律と言うしかありません。加減速がシビアな FZS から乗り換えた私からすれば、このパワ-デリバリ-はまさに愉悦でした。
かと言って非力なわけではありません。アクセル開度を大きくすると、質量感を伴いながら豪快に加速していきます。エンジンのフィ-リングは初期の水冷エンジンのよう。ゴリゴリ感を感じさせながらもよどみなく回転計の針は上がっていきます。このあたり、先述した GPz900R と同系統の感覚です。さらに回し、5000rpm を超えるとゴリゴリ感が消え、さらにスム-ズに回ってアブナイ領域まで連れて行ってくれます。
走りやすいだけに、調子に乗らない自制心と冷静さはマストアイテムですね。
市街地
とにかく「走りやすい!」の一言に尽きます。乗車姿勢の関係もあって視界が広く、周囲に意識を向けやすいので的確な状況確認ができます。また、渋滞や信号待ちがあっても、滑らかな加減速が可能なためストレスは最小限で済みます。交差点で曲がったり路地に入る場合の低速でのバンキングも極めて素直。「虎」というよりも「穏やかな猫」と言いたいくらい、とっつきやすい一面を見せます。
やや腰高なため足つきに注意しなければなりませんが、車体を直立させて制動をかけ、完全停止してから足をつくという練習をしておけばいいだけのこと。ストップ&ゴ-が多い場合はどうしても停止動作が雑になります。そんなときに「おっとっと」状態になれば重心の高いこのバイクは転倒する可能性が高くなります。この日何度かそのような目にあい、丁寧な制動&停止をするよう心に誓いました。
続きは次回に。
では。