ちょっと間があきましたが日本紀行、いよいよ東京編です。 さすがは大都会、今回は2回に分けてお送りします。
高校生までの「東京」のイメージは
「華とカネとイロ」の街
テレビドラマの影響です。きらびやかなネオンの輝きの中、オトナの男と女が繰り広げる愛憎劇がアチラコチラで繰り広げられているに違いない、そんな街に行くとワタシも主人公の一人になれるんじゃないかと妄想しておりました。今では、そんなふうに思っていた自分を指差して大笑いしてやりたいです。
沢田研二の「TOKIO」(著作権の関係で歌詞の引用は控えます)によって
この歌には多面性があります。キッチュ感あふれる出だしから物悲しさを感じさせる流れになり、一気にサビで持ち上げるという、カラオケで歌うと大盛り上がり間違いなしの歌です。現代のアニソンでも使えそうなワクワク感があり、都会ってこんなふうに胸をときめかせてくれるんだと大きな期待をするようになりました。
クリスタルキングの「大都会」(著作権の関係で歌詞の引用は控えます)によって
前向きで希望に満ち溢れた出だしのサビに続くのは、苦渋感たっぷりの歌詞。手のひら返しの二面性というのはショッキングなものでした。 ボーカルも高音と低音を担当する2人がいて、歌の世界の象徴化を加速。 光が当たる場所だけではないという「都会の怖さ」を感じるのと同時に、だからこその怖いもの見たさ感が急上昇していきました。
というものでした。なので高校卒業後は東京へと考えていたのですが、いざ現実的な選択となるとチキンなため、経済的にも精神的にも「住むのはちょっと・・・」と思い、他県の大学を受験することにしました。なので、 東京初体験は通過のみです。
ファーストコンタクトはスパイシーなものだった東京(詳しくは次回で)ですが、好奇心を抑えられずよく遊びに行くようになりました。初めて行ったのは、最新のバイク情報を肌で感じることができる上野です。 当時は「バイク街」と呼ばれる所があり、バイク本体は言うまでもなく用品を売る店もずら〜っと軒を並べ、その店の前の道(国道4号)にもバイクがずら〜っ(当時はバイクの路駐はOK)。 当時のバイクブームはそれだけスゴかったのです。 その熱にあてられ、 バイクで月に一度は行くようになりました。
今では、その場所は名残を残しているのみで、 「つわものどもが ゆめのあと」状態です。
東京に慣れてくると本を買いに丸善や紀伊国屋にもよく行くようになりましたが、 そのたびに地元の本屋では見たことのない品揃えにビビり倒し、 「さすが東京!」と尊敬と畏怖の念を抱いたものです。 そんな感情がむしろ心地よく、 他の街の様子も見たくなって東京に行く回数も増えてきたところでタイムオーバー。 卒業して地元に帰りました。
当時はバブル経済で盛り上がった時期であり、街の雰囲気はテンションアゲアゲの状態で活気と高揚感にあふれ、度を越した躁症状が見られたことを覚えています。やがて鬱症状が出るようになったのは数年後、バブルが崩壊してからというのはご存知のとおりです。
東京熱がぶり返してきたのは、社会人になってから数年後。 行き初めの頃は山手線の第3、4象限がメインの目的地でした。 新宿・渋谷・池袋という、 いわゆる「大都会東京」の代名詞的な街を意味なくうろつくためでしたが、 上京ペースが上がっていくうちによく行くエリアが山手線の第1、第2象限に変わり現在に至ります。
東京の街は面白い ( interesting の意味で) です。 街によって性格や特徴、 人が違いますね。 例えば「渋谷・新宿・池袋」と一口に言いますが、 この3つの街は方向性が全く異なるし、 歩いている人の風体も違います。 さらに、 これらの街と比べると「秋葉原」なんてのは全くの別次元の世界(いろんな意味で)ですね。 だから、いち地方自治体としては「東京」と言えますが、 ひとくくりにして考えることはできません。 さらに「スクラップ&ビルド」で常に目に見える変化を繰り返していて、 まるで生物のよう。 だからこそ飽きないし、 いつ行っても新鮮さを感じます。 他の自治体ではこんなことをここまで感じたことはありません。
また、 テレビなどで知った情報が実は本当ではないということを目の当たりにしたことも多く、 マスコミに対する「?」を感じるようになったのも東京のおかげです(実例の話は又の機会に)。一般的なものとしては
・物価が高い
ウソではありませんけど・・・。 そりゃ地方より高額商品はたくさんありますが、 地方より安いものもたくさんあります。 要は価格幅がむちゃくちゃ広いのです。 趣味の物や生活必需品、 外食に関しては、 店が多いため比較して安く済ませることができます。 公共交通機関の運賃も地方都市に比べると低いですしね。 山手線内でターミナル駅近辺で住もうと思えば出費はかさみますが、 それもイナカでクルマと一軒家を買ってしまえば同じことです。 上限価格だけ見て「都会は物価が高い」と考えるのは間違いだと思います。 カネを使う誘惑は多いですが。
人が冷たい
コレもよく言われる常套句ですが、 本当にそうでしょうか? 地方、 それもイナカへ行くと「人が温かい」と言いますが、 それは「あなたが一過性の旅行者」だからです。 「よそ者なのに自分の街に興味を持ってくれる」、 「外からカネを落としてくれる」 貴重で珍しくありがたい存在だからです。 もちろん本当に温かい人柄の人もいるでしょう。 でもそれは東京にもいるのではないですか? 地方に比べて東京の人は冷たい人の割合が多いのですか? 田舎者のワタシたちは、 わかりやすいステレオタイプな対立構造を勝手に思い込まされているだけに過ぎないのかもしれないのです。
自然がない
コレもよく言われる常套句ですが、 本当にそうでしょうか? 街の中にきちんと整備され安心して歩き回れる緑地を、 あれほど持っている自治体が国内で他にあるでしょうか? 「いや、あれは自然の物ではない」という反論もあるでしょうが、 日本の殆どの野山には人間の手が入っており、 「人工」です。つまり、「自然」がほしいなら原生林にでも行くしかないのです。 そこが安全かどうかは知りませんが。 魚が泳ぐ川や池、 泥遊びができる土、 虫が取れる樹があるのが「自然」というのなら(大抵はこの程度)東京は極上の地です。 もっとコアなものを求める方は奥多摩へどうぞ。
これまでのところ、 東京では遊びと仕事を合わせると数百泊しており、 まだまだ増えていく見込みです。 美術館や博物館のハシゴ、
イベントへの参加や街歩き、
何もすることがなければ都内の観光地めぐりと、
とにかく楽しめて刺激には事欠かないところです。
宿はほぼ 100% ビジホ。 タバコが吸えて気兼ねなく一人で過ごせるのがいいですね。 宿代は一泊 ¥7000 を超えないことを目安にしています。 外国人旅行客が増え宿泊費が上がるかもしれませんが、東京五輪の後のホテル供給過多のため、 しばらくは大丈夫な気がします。
東京贔屓になってしまったワタシが、 この街との出会いや思うところをつらつらと書いてきましたが、 今のワタシにとっての東京をまとめていうと、
情報を肌で感じることができる所
パワーや刺激をもらえる所
非日常を感じさせ、無意識の停滞に喝を入れてくれる所、 ハッとさせてくれる所
です。
今後も東京を贔屓にさせていただきます。
次回は東京の交通手段について書いてみようと思います。
ではまた。