約1ヶ月ぶりのトラブル備忘録です。トラブル自体はかなり以前のものなので、現代のバイクではこのようなことは起こらないとは思いますが、万が一の時に参考になればと思って書き綴っています。
このトラブルが起こった時は、「なぜこうなったかがわからない」、「どう対処したらいいかわからない」、「今後どうなるかわからない」といった、見通しのない不安感でワタシの小さな胸は張り裂けそうになりました。
今でこそ冗談を交えて語れますが、当時はこの一件で Tiger に対してだけでなく、バイクのメカニズム全てに対して不信感を持ってしまいました。命を預けているものが信用できなくなってしまい、「買い換えるかどうか」ではなく、「このままバイクという乗り物に乗り続けて大丈夫なのか」という不安を感じるようになったのです。それくらい気持ちが余裕を失っていたことを覚えています。
8年前のちょうど今頃の時期でした。
Tiger Explorer は当時、最先端の電子制御マシマシのバイクでした。二輪車としては世界初の「ライド・バイ・ワイヤ」導入、トラクションコントロ-ルやクルーズコントロ-ル、ABS は標準装備とするなど、某ゲルマンバイクを撃破するためならどんな手でも使ってやるという 大人げない 野心を隠そうとしないアグレッシブなバイクだったのです(売れるかどうかは別にして)。
しかしそれが災いして、 理屈が難しい上に他社バイクでの同様のトラブル例が皆無だった(他社のバイクはここまで電制化されていなかった)ので、その原因を考えるのは赤男爵でも苦労していました。
素人のワタシでは手も足も屁も出ませんでしたが、素人なりに予想を立ててみました。専門家の方、笑わないでくださいね。
本命:TCセンサの異常
エンジンが止まるときに点灯したワーニングの一つに、トラクションコントロールのがありました。センサーに異常がありトラコンのシステムがエンジンが失火させる、その不自然な失火をECMがエラーとして感知して燃料噴射を止めたのかもしれないと推理しました。
対抗:O2センサの異常
ちょうどこの時期に読んだ車雑誌で似たような症例を見つけたものですから。最初に読んだ時には「これだ!問題解決!!」と思って小躍りしました。その後よくよく考えてみるとこれはちょっと違うかなと感じましたが、まあこれで解決してくれればラッキーという希望的観測と期待感をもって、対抗馬としました。
大穴:スロットルボディ
電制部分が原因ではなく、そもそものところ燃料が吸入されていないのではないかという疑いもあります。「ライド・バイ・ワイヤ」によるスロットル開度の指示と、実際のバタフライバルブの開度にズレがあり、吸気に不具合が生じ、それをセンサーが異常と判断してエンジンを止めたのかもしれません。ハツモノだし、英国製品だし、そんなに精密さはないのでしょう(後日驚きの事実が!)。でもいくらなんでもコレではないでしょう。
9月半ばにダイアグノーシスが店に到着しました。で、点検したところ、
「エラ-履歴より、各気筒に対する燃料噴射のバラつきが判明。さらに3連スロットルのうち真ん中のスロットルだけが空気を多く吸い込み過ぎており、失火していたようである。トラコンランプが点くのも1気筒が爆発しなかったときに不自然なトルク変動と認識し誤作動したのだろう。トラコンのランプが点いたことはエラ-履歴にもなく、作動したとコンピュ-タは認識している」
とのことでした。結局スロットルボディ側で空気流入を調整して修理完了だそうです。
ワタシの予想がカスったところもありましたし、「ん?」と思うこともありました。でも先方さんはタダで直してくれることだし、以後不具合が出なければいいだけの話だし、ということで男爵様に修理をお願いしました。
約1週間の入院の後、Tiger が帰還してきました。
さあ、ツーリングのベストシーズンだ!仕事の関係ですぐには乗れないけれど、10 月の上旬には大学のバイクサ-クルのOB会が岐阜で行われる! その時にはガンガン走るぞーと指折り数えて楽しみにし、ようやくその日がやってきました。
続きは今度。
では。